第1章:なぜ「説明資料」は伝わらないのか?
「とりあえずパワポに情報を詰め込む」──
多くのビジネスパーソンが無意識にやってしまうこの行為。けど、それってほんまに「伝える」資料になっとる?
僕がクライアントワークの中でよく出会うのは、“説明するため”に作られた資料が、むしろ相手の理解を妨げているケース。
つまり、文字情報が多すぎる・構造がない・ビジュアルが弱いといった「伝達力を失った資料」があふれているということです。
そもそも、資料というのは「読み物」や「報告書」ではなく、コミュニケーションの道具。
一方通行の情報提供じゃなく、**双方向の理解を促進するための“設計物”**なんですよね。
例えば、以下のようなシーンを思い浮かべてみてください:
- 上司に提案するための資料
- 社外プレゼン用のスライド
- クライアント向けのレポート
どのケースでも「見る人」がいて、彼らに何かを“納得してもらう”必要がある。
にもかかわらず、「自分が伝えたいことをひたすら羅列しただけ」の資料が、未だに横行しているんです。
「わかりやすい資料」は、デザインされている
ここで重要なのが、「伝わる資料」ってのは自然と設計されてるという点。
「説明」ではなく、「納得」してもらうための構造・視覚設計・視線誘導・余白・色彩設計など…
これ、全部デザインの領域なんですよね。
第2章:資料に必要なのは“構造”と“視覚フック”
「とりあえずスライド枚数を増やせば、わかりやすくなるでしょ?」
いやいや、それ逆効果なこと多いけんね。
資料ってのは、情報を伝える“順番”と“見せ方”が9割。
構造と視覚設計、この2つがなければどんなに情報量が多くても“雑音”でしかありません。
1. ストーリー設計がすべての土台
いきなり中身に入るのはNG。
まずは、**「相手が理解しやすい流れ」=ナラティブ(物語構造)**をつくること。
例:
- なぜこの提案が必要なのか(課題)
- どんな未来をつくりたいのか(ビジョン)
- どんな解決策を考えたか(ソリューション)
- 具体的なアクションや成果(戦略)
この“順番”こそが、資料全体の骨組み。
2. 情報を「塊(かたまり)」で整理せよ
人間の脳って、細かいことより「まとまり」を先に認識するようにできとるんよ。
だから、資料の情報は3〜5個単位にまとめるのがコツ。
・課題は3つ
・メリットは4つ
・戦略のステップは5段階 …みたいに、構造で“安心感”を演出してあげる。
3. 視覚フックを仕込め
見た瞬間に「なんか気になる」「これ大事そう」と感じさせる要素──それが視覚フック。
太字・色・囲み・図解・アイコンなどを使って、「見る側の視線を誘導する」のがポイント。
たとえば、全体が淡色系の中に赤い文字が一個だけあると、そこに自然と目がいくじゃろ?
それが“視覚フック”の力なんです。
第3章:“見せて伝える”とはどういうことか?
さて、「説明資料はやめよう」という話をしてきましたが、じゃあ具体的にどうするのか?
答えはシンプルで、“見せて伝える”という意識にシフトすることです。
「読む資料」から「見せる資料」へ。
このマインドの切り替えが、デザインの本質にグッと近づく第一歩なんです。
説明 ≠ 説得
「説明してるのに伝わらないんです」って相談、めちゃくちゃ多い。
でも、そもそも“説明”と“説得”は違う行為。
- 説明:事実や内容を伝えること(≒自己都合)
- 説得:相手の心を動かし、行動を促すこと(≒相手都合)
つまり、**資料で大切なのは「相手の視点に立って構成すること」**なんよ。
「この情報、どう並べたら分かりやすいかな?」
「どこで“あぁ、なるほど!”ってなってほしいかな?」
──そうやって、見る人の“思考フロー”に寄り添ってデザインしていく必要がある。
デザインとは“視覚言語の翻訳”
ここでいう「デザイン」は、見た目を整える作業じゃない。
思考を視覚に翻訳する、コミュニケーションの設計やけん。
たとえば、
- 数字の比較 → 棒グラフに変換
- 手順の説明 → フローチャートに変換
- 抽象的な概念 → ビジュアルメタファーで表現
といったように、言葉で伝えるよりも一発で“わかる”構造を作るのが、資料デザインの醍醐味です。
視覚が先、言葉が後
脳科学的にも、人はまず“見て”から“読んで”理解します。
だから、先に「視覚で納得」させられる設計にしとかないと、どれだけ良い文章でも読んでもらえない。
この優先順位を意識するだけでも、資料の反応率はまったく違ってきます。
第4章:「伝わる資料デザイン」のチェックリスト
ここで、僕が普段使ってる**“伝わる資料かどうか”を見極めるためのチェックリスト**をご紹介します。
✅ 1. 見ただけで「何の資料か」がわかるか?
タイトルスライドや冒頭ページで「何のための資料か」がパッとわかること。
これが曖昧だと、全体がブレるし信頼も落ちる。
✅ 2. 一枚一枚のスライドに「目的」があるか?
スライド1枚=1メッセージが基本。
「このページで伝えたいことは何か?」が明確になってる?
✅ 3. 情報は整理されているか?
図解・ブロック分け・強弱などを使って、視線の流れが迷子にならない設計になってるか?
✅ 4. ビジュアル要素は“意味を持って”使われているか?
単なる飾りじゃなく、情報を補完・強調・要約するためにビジュアルが機能してるか?
✅ 5. “読ませすぎ”になっていないか?
1スライド内に長文がズラリ…なんてのは論外。
見る側が「読む気を失う」構成になっていないか、冷静にチェックを。
第5章:「見せて伝える資料」の実践アイデア
じゃあ実際に、どんな工夫をすれば“見せて伝える”資料になるんか?
いくつか実践的なアイデアを紹介します。
アイデア①:「1スライド1メッセージ」原則を徹底する
これは資料デザインの鉄則。
一枚の中に伝えたいことを詰め込みすぎると、結局どれも伝わらんようになるんよ。
💡対策:ページを分ける勇気を持つ
たとえば「サービスの特徴を3つ紹介したい」なら、3ページに分けた方が断然伝わる。
アイデア②:説明文より図解・比較・ビジュアル
「言葉」だけで理解させようとするのはしんどい。
できるだけ図やアイコン、写真で“直感的に理解”させることを目指そう。
💡コツ:抽象を“たとえ話”で視覚化する
たとえば「UXの違い」を例えるなら、「道に迷うマップ」と「整備されたナビ」くらい差があるって視覚的に見せた方が伝わりやすい。
アイデア③:「ストーリー性」を持たせる
資料全体の流れにストーリーを持たせると、見る側の没入度がグッと上がる。
論理展開じゃなく、「物語」として構成するんよ。
構成例:
- 序章:課題提起(共感)
- 第1章:現状の問題点
- 第2章:我々のソリューション
- 第3章:成果やベネフィット
- 終章:次のアクション
この流れを意識するだけで、見た目が同じでも「伝わり方」が段違いになります。
第6章:「説明資料病」から抜け出すために
最後に──
資料を「説明するためのもの」と捉える癖から、どう抜け出せばええんか?
僕が意識してるのはこの3つ。
1.「プレゼンする自分」を捨てる
「自分がどう説明するか」じゃなく、**「相手がどう理解するか」**を起点に資料をつくる。
自分中心から相手中心に視点を切り替えることで、資料は一気に洗練されます。
2. 情報を“翻訳”する意識を持つ
専門用語や社内ワードをそのまま資料に使っても、初見の人には伝わりません。
情報のレベルを“相手が理解できる言語”に変換する、翻訳者的視点が大事。
3.「この資料でどう動いてほしいか?」を明確にする
最終的に資料は“行動を促すツール”です。
「知ってもらう」だけではなく、「申し込みしてほしい」「比較検討してほしい」など、次のアクションを意図的に設計すること。
デザイン相談、お気軽にどうぞ!
資料づくりって、本当に奥が深い世界なんですよね。
「何となくで作ったら何となくの反応しか返ってこない」ってのが、資料デザインの怖さでもあり、面白さでもあります。
もし、
- 「自分の資料、ちょっと見てほしい」
- 「資料の改善点、第三者目線でアドバイスほしい」
- 「そもそもどう構成していいか分からん…」
って方は、ぜひこちらのフォームから気軽にご相談ください👇
現役のデザイナー視点で、構成からデザイン、伝わり方まで一緒に考えます。
まとめ:見せる資料は「思考のデザイン」
資料デザインとは、“考えを視覚化するスキル”。
「説明」ではなく、「伝える」ためのツール。
読みやすさ、美しさ、論理構造、そして感情を動かす演出──
そのすべてを統合したのが、良い資料です。
「ただの説明資料」から、「見せて伝える資料」へ。
その第一歩として、今日の内容がヒントになれば嬉しいです。
ではでは、また次回!
この記事が「なんかええ感じやった」って思ってもらえたなら、ぜひシェアしてもらえると喜びます😊
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