“世界観設計”という名の戦略─ 感覚じゃなく意図でデザインする方法

世界観
Landscape with Milky way galaxy. Sunrise and Earth view from space with Milky way galaxy. (Elements of this image furnished by NASA)

はじめに:「オシャレ」より「思想」が勝つ時代へ

こんにちは。
今回は、「世界観設計」というテーマについて、しっかり言語化していきたいと思います。

  • 「統一感あるデザインが作れない」
  • 「なんか感覚でしか作れてない気がする…」
  • 「差別化したいけど、結局みんな似たような見た目になる」

こんな悩みを持ったことのある方にこそ、今回の内容は刺さるはずです。

世界観とは“感覚”ではなく、“設計”できるものである。

我々はずっとそう考えてきました。
今回はその思想と、具体的な設計プロセスまで落とし込んでお伝えしていきます。


第1章:なぜ「世界観」が求められるのか?


1.1|選ばれる理由が「商品」から「空気感」へ

モノが溢れ、機能やスペックで差がつきにくい時代。
今、選ばれる理由は、

  • その世界に入りたいと思えるか?
  • 共感できる価値観があるか?
  • “らしさ”に惹かれるか?

つまり、“空気感=世界観”がブランドの最大の資産になっているんです。


1.2|「差別化」じゃなく「意味化」の時代

単に見た目を変えて差別化するだけでは、もはや通用しません。
ユーザーが求めてるのは、

「このブランドは、どんな思想の上に成り立っているのか?」

そこに意味があるかどうか
だからこそ、世界観を“戦略的に設計する力”が今のデザインに必要なんです。


1.3|オシャレ=世界観、ではない

「統一感がある」=「オシャレに見える」=「世界観がある」──
…みたいな誤解もありますが、違います。

世界観とは“印象”の話ではなく、“構造”の話です。

何を軸に設計されているか?
どんな哲学で世界を組み立てているか?

この「内的構造」があるからこそ、
結果的に“統一感”や“刺さる空気”として外に表れてくるんです。


第2章:“世界観”とは何か?をちゃんと定義する


2.1|我々なりの定義:世界観 = 「らしさ」の構成要素

「世界観」とは、見た目の話ではなく、

五感・言語・思想・構造を含んだ“らしさ”の総合演出です。


2.2|構成要素は大きく5つ

要素説明
1. ビジュアル色・余白・フォント・構図などの視覚情報
2. 言語キャッチコピー、トーン、語尾、口調など
3. 構造設計情報の順序、導線設計、空間の強弱
4. 音・リズムBGM、モーション、UIのテンポなど
5. 思想・哲学世界観を支える“見えないルール”や価値観

2.3|思想のない世界観は“ただの雰囲気”

色や構成だけでまとめたデザインって、確かにパッと見はキレイ。
でも、思想がなければ“中身のない雰囲気”にしかならない

だからこそ、世界観設計はまず「思想の定義」から始まるんです。


第3章:世界観は「コンセプト設計」から始まる


3.1|最初に問うべきは「この世界は、誰のためのものか?」

  • ターゲット像
  • 感情の起伏
  • 欲求や価値観の傾向
  • 日常で触れている情報環境

これらを“感情ベース”で設計してから、
その人にとって心地よい世界観とは何か?を逆算する。


3.2|「物語の舞台」を作るという発想

世界観を作るとは、

「ブランドという物語の舞台セット」を組むこと

です。

  • 主人公(ターゲット)は誰か?
  • その人は何を求め、どこに向かっているのか?
  • このブランドは、どんな役割で登場するのか?

このストーリーベースで世界観を構築すると、デザインの方向性がブレません。


第4章:「世界観の言語化」がすべての起点になる


4.1|まず“ビジュアルの意味”を言葉にする

「オシャレな感じで」「柔らかめで」「信頼感ある雰囲気で」──
そんな抽象表現のままだと、デザインは“なんとなく”の感覚止まりになります。

だからこそ、こう置き換えます:

  • 「オシャレ」→ 「洗練された/余白が広め/色数を抑えた」
  • 「柔らかめ」→ 「角丸/くすみカラー/曲線フォント」
  • 「信頼感」→ 「明朝体/グリッドが整っている/過度な動きがない」

曖昧な印象を、構造とルールで言語化すること。
これが世界観設計の第一歩です。


4.2|「らしさワード」を10個並べてみる

我々がよくやる手法のひとつがこれ👇

そのブランドらしさを“10個のキーワード”で並べる

たとえば:

  • 静けさ
  • 余白
  • 詩的
  • 親密
  • 洗練
  • 一体感
  • 控えめ
  • 優しさ
  • 無理がない
  • ちゃんとしてる

これをビジュアル・言語・導線に落とし込んでいけば、
自然と「そのブランドにしかない空気感」が作られていきます。


4.3|全要素に「なぜその表現なのか?」をつける

  • なぜこの色なのか?
  • なぜこのトーンなのか?
  • なぜこのフォントを選んだのか?
  • なぜこの順番で情報を配置したのか?

ひとつひとつに“理由”があってこそ、世界観は設計物として成立します。


第5章:世界観を構築する「5レイヤー思考」


世界観を作るために、我々は5つの“層(レイヤー)”を意識して設計しています。

レイヤー説明
1. 思想世界観の核となる信念・哲学。なぜこの世界が必要か。
2. 言語言葉のトーン・語尾・コピーの質感。思想の翻訳装置。
3. 視覚色・フォント・レイアウトなど。言語の視覚化。
4. 空気余白・動き・間・テンポ感。感情の波長を合わせる領域。
5. 構造全体設計・導線・情報設計。迷わせず、惹き込むための土台。

この5つの層がすべて“同じ方向”を向いていれば、
結果として「なんか世界観があるなぁ」って感じるデザインになるんです。

逆に、どれか1個でもズレてると「違和感」「散らかり」「チープさ」につながってしまいます。


第6章:実例で見る「世界観設計のビフォーアフター」


6.1|例:女性向けスキンケアブランドのLP

Before(なんとなく整ってるけど凡庸)

  • フォントは明朝とゴシックが混在
  • 写真はそれっぽいが“無個性”
  • 色味がやや安っぽく、どこかで見たような印象

After(世界観設計を反映)

  • キーワード:「詩的」「透明感」「静けさ」
  • 色数を抑え、トーンを統一
  • 商品説明も“機能”ではなく“感情訴求”にシフト
  • スクロールのテンポをゆっくりに設定し、“間”を演出

→ 結果、CV率は1.8倍にアップ/SNS保存数も増加


6.2|例:若者向けのストリート系アパレルEC

Before:とにかく目立たせようとして騒がしい

  • 黒×赤で激しめの配色
  • 情報過多でスクロールがしんどい
  • 写真のトーンが揃っていない

After:世界観の統一で逆に目立つ存在に

  • キーワード:「無骨」「雑味」「即興」「主張」
  • 敢えて「未完成感」や「崩し」を入れる構成へ
  • フォントは太く、文言もスラング混じりに調整

→ 若年層に刺さり、SNSで“世界観がええ”と話題に


第7章:「世界観設計=思想を構造に落とす作業」である


まとめます。

世界観とは、

見た目の“統一感”ではなく、“思想の翻訳装置”である

そのためには:

  • 抽象イメージを言語化し
  • それを五感と構造に落とし込み
  • 意図を持って統合する

この一連の流れが、“世界観設計”の正体なんです。


💬「自分の世界観、整ってるんかな…?」と思ったら

  • ブランドの軸を言語化したい
  • 今のデザインに“らしさ”がない
  • 統一感が出ずに困っている

そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください👇

📩 無料デザイン相談フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1fptnXOg0HCzFWKg1Xldgi_IRyiHv3vwV-5uLtUMFA1s/edit


✍️さいごに

「世界観」という言葉は、ふわっとしがちだけど──
ちゃんと構造に落とせば、めちゃくちゃ強い“戦略の武器”になります。

感覚じゃなく、意図でつくる。
ふわっとじゃなく、言語で構成する。
我々はそれをずっと大事にしてきたし、これからも大事にしていきたい。

また次の記事で会いましょう。
読んでくれてありがとう。
ほいじゃの〜!

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