「“ツールに振り回されない”学び方」 ─ CanvaもFigmaも怖くなくなる基礎思考

デザインツール
Female hands with painter's supplies on white background

はじめに

デザインを学び始めた人からよく聞く悩みがあります。
「Canvaを使った方がいいのか、Figmaを覚えた方がいいのか…」
「ツールがたくさんありすぎて、どれを学べば正解なのか分からない」

正直に言うと、これは誰もが一度は通る迷路です。僕自身もデザインを始めた頃、PhotoshopとIllustratorの違いに頭を抱えた経験があります。今はさらにツールが多様化し、AIツールまで加わったことで、その混乱は加速しています。

でも実は、この「ツール迷子」問題にはシンプルな答えがあります。
ツールを学ぶ前に“考え方”を学ぶこと。これが全てです。

今回は「ツールに振り回されない学び方」をテーマに、CanvaやFigmaを例に挙げながら、デザインを学ぶうえでの基礎思考について掘り下げていきます。


第1章:なぜツールに振り回されるのか?

まず、多くの人がツールに迷うのは、次の3つの心理的要因があるからです。

  1. 正解主義
    「どれを使えば一番効率的か?」という唯一の正解を求めてしまう。
  2. 周囲の影響
    SNSやスクールで「Figma一択!」「Canvaで十分!」など極端な意見を目にして、振り回される。
  3. 成果焦り
    早く“使えるデザイナー”になりたい気持ちから、「ツール=スキル」と短絡的に考えてしまう。

けれど本来、ツールは「表現のための手段」にすぎません。
極端に言えば、ペンでも紙でもアイデアは描けるし、PowerPointであってもデザイン的思考は鍛えられるんです。


第2章:ツールより大事な“基礎思考”

ツールは流行や市場ニーズで変わっていきます。でも、思考の基盤は変わりません。

僕が考える、ツールに振り回されないための基礎思考は以下の3つです。

  • ①目的思考:「何を伝えたいのか?」を最初に決める
  • ②ユーザー視点:「誰が、どんな状況で見るのか?」を意識する
  • ③原則理解:余白、配色、文字組みといったデザインの普遍的ルールを学ぶ

これを押さえていれば、CanvaでもFigmaでも、どんな新しいツールでも応用できます。
逆に、これを持たずにツール操作ばかり覚えても、すぐに陳腐化してしまいます。


第3章:CanvaとFigmaの違いをどう捉えるか?

では実際に、多くの人が迷う「CanvaとFigma」について考えてみましょう。

  • Canva
    → テンプレート豊富で、非デザイナーでもすぐに“見栄えのいいもの”が作れる。プレゼンやSNS投稿に強い。
  • Figma
    → UI/UX設計やチームコラボレーションに優れていて、プロの現場で重宝される。デザインシステムを管理できるのも強み。

この2つのツールは、用途も思想も全く違うんです。
Canvaは「誰でも気軽に作れる」を目的にしていて、Figmaは「プロが設計できる」を目的にしています。

つまり、「どちらを学ぶべきか?」ではなく、自分の目的に合わせて選ぶのが正解。
Canvaで十分な場合もあるし、Figmaを避けて通れない場合もある。重要なのは「ツールの思想を理解して、自分の目的に合わせて使い分ける」ことなんです。


第4章:ツールの“怖さ”をなくす練習法

ツールに苦手意識を持っている人の多くは、「最初から完璧に操作できなければいけない」と思い込んでいます。でも実際には、デザインツールは“部分練習”で慣れていくのが正解です。

例えば、Figmaを学びたいならいきなりアプリのUIを作るのではなく、次のような小さな練習から始めてみてください。

  • ボタンを一つ作る
  • 配色を試してみる
  • 文字を整列させる

Canvaなら、

  • テンプレートをそのまま編集して感覚を掴む
  • 配色だけ自分で変えてみる
  • 余白やフォントを調整して印象の違いを確認する

こうした“小さな積み重ね”が、自信を育てていきます。プロも最初から全部できたわけではなく、機能をひとつひとつ噛み砕いて習得してきたんです。

また、練習のときは「目的を小さく設定する」のもコツです。
「おしゃれなLPを1枚作ろう!」だと挫折しますが、「このLPの見出しを整える練習」と考えると無理なく進められます。


第5章:ツールを超えて成長するために

ツールに慣れてきたら、次は「ツールを超えた成長」を意識しましょう。

デザインはツール操作だけではなく、情報整理力・言語化力・発想力といった“考える力”があってこそ輝きます。

たとえば、Figmaのオートレイアウトを学んだとします。でもそれを「要素を整理して、誰が見ても理解できる構造を作るために使う」と考えられるかどうかで成果は大きく変わります。

逆に、Canvaで作ったバナーも、目的とターゲットを理解して配色やフォントを選べば、立派な“戦略的デザイン”になります。

大事なのは「ツールを通して、デザインの本質を学ぶ」という視点です。
ツールが変わっても、応用できる考え方を育てることで、流行に左右されない力が身につきます。


第6章:具体的な練習課題のすすめ

ここからは「ツールに振り回されない学び方」を、実際の練習課題として落とし込んでみます。

Canvaでの課題例

  1. バナーのリデザイン
    既存のテンプレートを選んで、配色・フォント・余白だけを変更。印象がどう変わるかを体感する。
  2. アイキャッチ比較
    同じ内容で3種類のデザインを作り、どれが一番目を引くかを検証する。

Figmaでの課題例

  1. ボタンUIを作る
    ホバー時やクリック時のスタイルを設定して、小さなインタラクションを体験する。
  2. ワイヤーフレーム作成
    サイト全体ではなく、1ページの見出し〜本文〜CTAまでをラフに配置してみる。

ポイントは「短時間でできる課題」にすることです。1つの課題に数十分以上かけない方が、学びが継続します。


第7章:ツールを超えた“応用力”を育てる

ツールの練習課題を繰り返すうちに、「なぜこの配色は見やすいのか?」「なぜこのフォントは堅い印象を与えるのか?」と考えられるようになります。

ここから先は、ツール操作を“理由づけ”とセットで学ぶことが重要です。

  • 「この余白は読みやすさを生む」
  • 「この色はターゲット層に合っている」
  • 「この配置はクリック率を高める」

といった“根拠”を言語化できるようになれば、ツールが変わっても応用できます。

最終的には、CanvaでもFigmaでもPhotoshopでも、「デザイン思考で作業している自分」に気づけるようになります。これが“ツールに振り回されない”状態です。


まとめ

  • ツールに振り回されないためには、基礎思考を持ち、目的を明確にすることが大事
  • 部分練習で小さな課題から始めると、ツールの怖さは消えていく
  • 理由づけのある操作ができれば、どんなツールも応用可能になる
  • ツールは「目的を達成するための手段」であって、学びのゴールではない

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