第1章:プロンプトは設計図である
最近、「生成AIってすごいけど、なんか思った通りの出力にならない」という声をよく耳にします。これは、まるで大工さんに「家を建てて」とお願いするのに、設計図も寸法も材料も伝えずに「いい感じで!」と頼んでいるようなものです。結果、想像と全然違うものが出来上がる。
その原因のほとんどが「プロンプト設計」にあります。
プロンプトは、AIに渡す”指示書”。これが曖昧だと、当然AIのアウトプットも曖昧になる。逆に言えば、このプロンプトの精度を上げることで、AIのポテンシャルは何倍にもなります。
その中で、僕が辿り着いたのが「七里式プロンプト」、通称「8+1の公式」です。
第2章:七里式「8+1の公式」とは?
この公式は、生成AI(主にChatGPT)で「意図通りの結果を出す」ための構造的アプローチで、以下の8項目+1補助情報で構成されます:
【8項目】
- 目的(何のために)
- 対象(誰に向けて)
- 媒体(どこで使う)
- 形式(どんな形で)
- 構成(章立て・パーツ)
- 口調・トーン(敬語?タメ口?)
- 長さ(文字数・分量)
- 参照・引用(何を参考に)
【+1補助】
- 演出(感情・ニュアンス・印象など)
この8+1がすべて揃うと、AIは”意図を解釈できる”状態になります。要するに、AIが「人間の気持ち」や「文脈の行間」を読み取れるように、こちら側が“翻訳”してあげるわけです。
第3章:それぞれのパーツの意味と使い方
1. 目的(何のために?)
→ 例:「営業資料として使う」「社内プレゼン用に整理」など。
2. 対象(誰に向けて?)
→ 例:「初心者の経営者」「美容系サロンオーナー」など。
3. 媒体(どこで使う?)
→ 例:「Instagram」「note」「提案資料」など。
4. 形式(どんな形?)
→ 例:「インタビュー形式」「セリフ口調の会話文」「Q&A形式」など。
5. 構成(どんな章立て?)
→ 例:「導入→本題→事例→まとめ」のような流れを明記。
6. トーン(語り口調)
→ 例:「親しみやすく」「知的でロジカルに」「情熱的に語る」など。
7. 長さ
→ 例:「3,000文字前後」「10分で読める分量」など。
8. 参照・引用
→ 例:「◯◯のブログ記事を参考にして」「XXのLPをベースにして」など。
+1:演出(感情・印象・仕掛け)
→ 例:「読後にスッと心に残るように」「驚きや違和感を起点に」など。
これを全部入れてプロンプトを設計すると、AIの出力が劇的に変わります。
第3章:「8つの構成要素」とは?
さて、ここからは七里式プロンプトの中核とも言える「8つの構成要素」について詳しく解説していきます。自分が実際に使ってみて、特に効果的だった順に紹介しますね。
①目的(Purpose)
まず大前提になるのが「何のためにそのアウトプットを得たいのか?」という目的設定です。
例えば、「キャッチコピーを考えたい」のと、「購入率を上げるキャッチコピーを考えたい」のとでは、生成される結果にめちゃくちゃ差が出ます。
AIは目的を明確にすればするほど、精度が上がるんですよ。逆に「なんかいい感じでお願い」みたいなざっくり指示だと、なんとなく…で終わります。
②対象(Target)
誰のためのものか? ここをちゃんと指定するのも重要。
例:「20代女性向け」「建築系の経営者向け」「UXにこだわるWebディレクター向け」など。
これがあると、語彙や表現のトーンが的確になるんよね。
③フォーマット(Format)
生成してほしいアウトプットの形式も大事です。
例:「文章」「キャッチコピー」「リスト形式」「テーブル形式」など。
ChatGPTなどのAIは、フォーマットを指定すると途端に整ってくるし、コピペも楽になる。
実務ではここが地味に効いてくるポイントです。
④トーン(Tone)
これは文章の雰囲気。
「カジュアル」「堅め」「感情的」「ロジカル」「親しみやすい」など、伝えたい雰囲気を指定することで、完成度が上がります。
⑤構造(Structure)
「起承転結にして」とか「PREP法でお願い」とかの“型”ですね。
これを入れることで、内容に筋が通りやすくなるし、誰かに見せる際にも読みやすくなる。
特に資料作成や記事生成ではめっちゃ役立ちます。
第4章:残りの「3要素」+1
⑥制約条件(Constraint)
ここでいう制約とは、「文字数を300文字以内で」や「小学生でも分かるように」などの制限です。
人間なら感覚で調整できるけど、AIにはちゃんと伝えないと暴走しがちなんで(笑)ここも丁寧に指定すると、仕上がりが一気に良くなります。
⑦参考(Reference)
「このLPみたいなトーンで」とか「このURLの内容を参考にして」と伝えると、精度が格段に上がります。
ChatGPTでもPDFやURLを参照できる機能があるので、それを使いながら“空気感”まで伝えられるとベストです。
⑧禁止事項(Negative)
地味に重要なんがこれ。「〜な表現はNG」とか「煽り系の文言は禁止」みたいなやつです。
こういう禁止系の条件は、先に言っとかないと、意外とAIは使ってしまいます。
事故防止にもなるし、納品レベルを上げるための工夫やね。
第5章:そして「+1」──“AIとの関係性”の設計
「8つの要素」はすごく実用的なんですが、実はそれだけじゃ足りないんです。
七里さんが“+1”として提案してるのが、「自分とAIの関係性をどう定義するか?」という視点。
つまり、「AIをただのツールとして使うのか」「相棒として扱うのか」「メンターにするのか」──この関係性を意識してるかどうかで、得られる結果が大きく変わってくるんですよ。
例えば、自分はChatGPTを「プロジェクトパートナー」として扱ってます。
だから雑な質問はしないし、出てきた回答にちゃんとフィードバックするようにしてる。
この“信頼と対話”のスタンスがあると、どんどんAIとの関係性が深まり、出力の質も上がってくるんよね。
第6章:「8+1の公式」をデザイン領域でどう使うか?
ここまで読んでくださった方は、すでに「8+1の公式」の全体像はつかめたと思います。
じゃあ実際に、これを「デザインの仕事でどう使うか?」というところに落とし込んでみましょう。
LP制作のプロンプトで使う例
たとえば、「20代女性向けの美容系LPを作りたい」というケース。
このときにAIに「とりあえずいい感じの構成案ちょうだい」って頼むのと、以下のようにプロンプトを組んで頼むのとでは、出てくる内容のレベルが桁違いになります。
【目的】美容LPの構成案を作りたい
【対象】20代後半の働く女性、美容意識が高い人
【フォーマット】構成案(各セクションに見出し+説明)
【トーン】信頼感・やわらかさ・品のある雰囲気
【構造】AIDMAモデルで
【制約条件】セクション数は7つ以内
【参考】「XXXXX(参考URL)」の雰囲気を踏襲
【禁止事項】下品な表現、過剰な誇張
【関係性】あなたは一流のマーケター兼デザイナーです
ね?
もうこの時点で、かなり現場で使える内容になってきとるでしょ。
あとは出てきた内容にツッコミを入れて、磨いていくだけです。
第7章:AIに「考えさせる」ことの価値
ChatGPTを始めとした生成AIは、「命令されること」に慣れてます。
でも、実は本領を発揮するのは「考えさせること」なんです。
人間の脳と同じように、問いの質が思考の質を決める。
つまり、質問やプロンプトの質が高ければ、返ってくるものも深くなる。
「これどう思う?」「もしこうだったら?」という問いを投げかけたり、わざと迷わせるような2択を与えると、AIはそれに対して“考えて”くれます。
このフェーズに入ってくると、もうただのツールではなく、「相棒」なんよな。
第8章:「思考の外注先」としてのAI
デザイナーって、常に「0→1」を作り出すことを求められる仕事です。
だけど、いつも自分の中だけで考えようとすると、視野が狭くなったり、思考が堂々巡りになったりしがち。
だからこそ、AIを「思考の壁打ち相手」にすることで、自分では出てこなかったような視点が返ってくる。
これがほんまにありがたい。
自分も何度も助けられてきました。
たとえば、「このデザインの打ち出し、ほんまにこの方向でええんかな?」とか、「この言い回し、ちょっとクドくない?」みたいなことをChatGPTに相談すると、ええ返ししてくるんですよ(笑)
第9章:最後に──AIを“育てる”のは、僕ら自身
AIはすごいです。ほんまに。
でも、それを「すごく使える状態」にするには、使い手がちゃんと育てていく必要があります。
AIに指示を出して、結果を見て、ツッコミを入れて、また育てて。
そうやって「自分仕様」に育てていくと、だんだんと“思考の相棒”になってくれる。
つまり、「AIとの共創時代」っていうのは、技術の話ちゃうんです。
「人間側がどれだけAIと向き合えるか」っていう話なんよな。
【まとめ】「8+1の公式」で得られる3つの進化
最後に、この記事のまとめとして「この公式を活用することで得られる変化」を3つだけ挙げておきます。
- アウトプットの質が爆上がりする
→「なんか違う…」からの地獄から脱出できる。 - 思考整理のフレームワークとして使える
→自分でも気づいてなかった意図が見えてくる。 - AIとの関係性が“ツール”から“相棒”になる
→一緒に思考できる存在として、可能性が広がる。
💬 相談してみませんか?
「プロンプト設計も気になるけど、自分のデザインにどう活かせるか分からない…」
「実際に使ってみたけど、なんかイマイチ成果が出ない…」
そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください。
プロンプトの壁打ちから、デザイン全体の戦略設計まで、サポート可能です。
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