デザインの仕事をしていると、よくこんな相談を受けます。
「主役が埋もれてしまってて…」
「なんかゴチャゴチャして、どこを見せたいのかわからない」
この「主役を目立たせる」って、言葉にするとすごく簡単なんですが、実践となると案外むずかしいんですよね。
でも、実はこの問題、ちゃんと“理屈”で整理することができます。
そのために必要なのが、コントラストと視線誘導の考え方です。
本記事では、この2つの要素を使って、
「主役をちゃんと目立たせるためのデザイン思考」
について、段階的に解説していきます!
第1章:そもそも「主役」とは?
「主役を目立たせたい」と言う前に、まず大事なのは…
✅ “誰が主役か”を、デザイナーがちゃんと把握しているか?
ということです。
クライアントの要望を聞いていると、
- 写真も目立たせたい
- キャッチコピーも目立たせたい
- ロゴも入れてほしい
- キャンペーン内容もアピールしたい
と、「全部大事」なパターンが多い。
でも、全部主役にした瞬間、誰も主役じゃなくなるんよね。
広島弁で言うなら、「みんながセンターに立ちたがっとるんじゃけど、そりゃ無理じゃろ」ってことです。
まずは、
このデザインにおいて、一番伝えたいことは何か?
を“1つだけ”決めましょう。それが主役です。
第2章:主役の定義ができたら「目立たせる」技術
主役を決めたら、次はその主役を“目立たせる”フェーズです。
ここで必要になるのが コントラスト です。
コントラストとは?
コントラストとは、「差」です。
差があればあるほど、人の目はそこに引き寄せられます。
- 色の差(明暗、暖色vs寒色)
- サイズの差(大きいvs小さい)
- 形の差(丸と四角、写真と文字)
- 位置の差(左に寄せる、中央に置く)
例えば、すべてが同じようなトーンで構成されていると、どこが主役かは分かりづらくなります。
実例で見てみよう
- 全体が淡いベージュ系で構成された広告の中に、赤いボタンが一個ある → めっちゃ目立つ
- モノクロ写真の中に、カラーの人物が1人いる → 自然とそこに視線が集まる
つまり、主役が「他と違う存在」になるよう、あえて差をつけるのがポイントです。
コントラストの正体とは、「比較対象」なんよね。
比較されて初めて目立つんじゃけえ、全体の設計が超大事になってくるんよ。
第3章:視線は“流れる”ものである
目立たせるためには、もう一つ重要なポイントがあります。
それが「視線誘導」です。
人間の目って、自然と流れに沿って動くんですよね。
たとえば、
- 左から右(日本語の横書き)
- 上から下(縦スクロール)
- 大から小、濃から薄、派手から地味へ
という風に、自然に誘導される法則が存在します。
つまり、主役に視線を集めたいなら、その前の視線の流れを設計すればいいわけです。
デザインにおける“導線”とは?
視線誘導は、「見せたい順番」をコントロールするために使います。
たとえば:
- キャッチコピーで目を止める
- ビジュアルで感情を揺らす
- 説明文で納得させる
- ボタンで行動を促す
この順番が無理なく流れていれば、人はストレスなく情報を受け取り、行動まで進みやすくなります。
でもここで、主役(たとえば申込みボタン)が目立ってないとしたらどうでしょう?
視線は流れてきても、最終地点が霞んでいては意味がありません。
だからこそ、視線誘導とコントラストはセットで考えるべきなんです。
第4章:「目立つ」と「うるさい」は違う
ここでひとつ注意しておきたいことがあります。
それは、“目立たせよう”とするあまり、うるさくなってしまうこと。
とくに多いのが、
- 赤色の太文字だらけ
- 強調したい部分が多すぎて、全部が強調されてる
- いらない枠線や背景が増えすぎて視線がブレる
こういう場合、「主役が目立っていない」だけでなく「他の要素に邪魔されてる」状態です。
つまり、目立たせるために“他を引く”ことも大事なんです。
第5章:「引き算」と「差」を意識するだけで変わる
最後にまとめます。
✅ 主役を目立たせるための基本ステップ:
- まず「主役」を一つ決める
- 主役が目立つように「差」を作る(=コントラスト)
- 視線の流れをつくって誘導する(=視線誘導)
- 他の要素は主役を邪魔しないように「引き算」する
デザインって、「全部を頑張る」より、「何を頑張らないか」を決める方がむずかしいんです。
でも、逆に言えば「何を頑張るか」が決まれば、全体が自然と整ってきます。
その“決め”を、ちゃんとできる人が「伝わるデザイン」ができる人なんじゃろうなって、僕は思うんです。
第6章:迷ったときのチェックリスト
実際の制作現場で「主役が目立たない…」という状況に出会ったとき、
僕がよく使う“チェックリスト”を紹介します。
🔍 主役目立たせチェックリスト
- 一番見せたいもの(主役)は決まっているか?
- 主役とその他に「コントラスト(差)」がついているか?
- 視線の流れに沿って主役へ誘導されているか?
- 主役を邪魔する要素は削れているか?
- 「目立たせる=強くする」と思い込みすぎていないか?
この5つにちゃんと向き合えば、だいたいの「なんか目立たん…」は解決できます。
特に“引き算”の視点は、経験者ほど忘れがち。
キャリアを積んでツールや技術が増えるほど、“足し算”で解決しようとしちゃうんですよね。
でも、情報社会の今は「何を伝えるか」だけじゃなくて、「何を伝えないか」も同じくらい大切です。
おわりに:主役がいるから、世界が整理される。
どんなに情報が多くても、主役がハッキリしていれば、全体がスッキリします。
それはまるで、散らかった部屋に“1本の軸”が通るような感覚。
「主役を目立たせる」って、
デザインの技術というより、思考の整理術なんですよね。
その整理を、一緒にやっていける相手がいれば、もっとラクになるはずです。
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