「“違和感の正体”を言語化せよ」─ 経験者ほど陥る“なんか気持ち悪い”への処方箋

デザイン
悩む・考える・女性

第1章:その「なんか気持ち悪い」は、あながち間違ってない

デザインをある程度経験してくると、細かい違和感に気づけるようになってきますよね。

レイアウト、余白、色味、バランス、文字の組み……パッと見た瞬間に「うーん、なんか気持ち悪いな」って引っかかる感覚。

でも、言語化しようとすると急に詰まる。

「なんか、バランスが……」「ちょっと詰まりすぎてて……」「いや、なんか違うんですよね〜」

みたいな曖昧な表現になって、指示がフワッとしてしまう。

経験者ほど、この“違和感を説明できないストレス”に陥るんですよ。

でね、ここがすごく大事なポイントなんじゃけど──

『違和感』って、実は“感覚のエラー”じゃなくて、“記憶とのズレ”なんよ。

つまり脳が「過去の経験」や「ルール」と照らし合わせて、無意識に“変”を検知してる状態。

そのままにしとくとただのモヤモヤになるけど、ちゃんと言語化できれば「直す力」になる。

この記事では、その“違和感の正体”をロジカルに分解して、「どう言語化するか」「どう伝えるか」を一緒に掘っていきたいと思います。


第2章:「なんか変」は“4つのズレ”から起こる

違和感の原因って、だいたい以下の4つに分類できるんです。

  1. 視覚のズレ:バランス・整列・余白などの物理的な違和感
  2. 文脈のズレ:世界観・テイスト・ターゲットとの不一致
  3. 機能のズレ:目的と行動導線が噛み合ってない
  4. 文化のズレ:時代性・常識・期待値とのミスマッチ

たとえばバナー広告で、すごくポップでかわいいデザインなのに、紹介してる商品がハイエンド向けの高額アイテムだったら……?

それ、たぶん「文脈のズレ」ですね。

あるいは、ボタンがどこにあるのかわからないLPだったら、それは「機能のズレ」。

経験を積めば積むほど、無意識にこの4つの軸で違和感を感じ取ってるんですが、それを明確に分類して意識してる人は少ない。

だから、「なんか違う」ままで止まっちゃう。

この4軸の“どのズレ”なのか?を一つずつ照らしていくと、違和感はロジックで解剖できるようになります。


第3章:言語化のテンプレート「ズレ診断シート」

ここで、我々が実際に使ってる「ズレ診断シート」をシェアしてみます。

【ズレ診断テンプレート】

● 目的:このデザインのゴール(何を達成したいのか)
● 主役:一番目立たせたい要素は?
● 想定ユーザー:誰に向けてる?
● 違和感:なにが「変」だと感じた?(できるだけ主観で)
● 視覚のズレ:整列/余白/視線誘導は?
● 文脈のズレ:世界観やテイストは適切?
● 機能のズレ:導線や目的に合ってる?
● 文化のズレ:時代性や期待とズレてない?

こうやって“診断モード”に切り替えることで、自分の感覚を客観視できるようになるんです。

「いや〜なんか違うんよ〜」から、「これは◯◯のズレやね」ってちゃんと指摘できるようになる。

つまり、“違和感の翻訳”ができるようになるわけですね。

次の章では、実際の事例を見ながら「違和感をどう直すか」まで深掘りしていきます。

第4章:「なんか気持ち悪い」の正体は“期待のズレ”

経験者が陥りやすい罠。それが「“なんか気持ち悪い”の沼」にハマることじゃと思います。

この「違和感」の正体、実はかなりシンプルで。
“設計時に意図していた期待”と、“実際に目にした瞬間の印象”にズレがある状態、これなんです。

たとえば…

  • スタイリッシュに仕上げたつもりが、なぜか安っぽく見える
  • 躍動感を出したくて斜め配置にしたのに、読みにくいだけに感じる
  • ミニマルでシンプルにしたのに「手抜き?」と思われてしまう

…こういう時、「なんか違う…なんでや…」と悩むわけです。

けど、実際に起きてることはシンプルで。
「意図した感情」と「相手が受け取った印象」がズレてるだけ。

ここを言語化せずに感覚だけで追ってしまうと、経験がある分どんどん泥沼にハマります。
「あれ?こんなに時間かけたのに、結局直感で戻すんかい…」ってなるんよね。笑

だからこそ、“なんか気持ち悪い”を解決する第一歩は、
自分の“意図”を言葉にしておくこと。

  • どんな雰囲気を出したいのか
  • どんな人に、どんな気持ちになってほしいのか
  • どこに注目してほしいのか

こういうことを事前に明文化しておくだけで、違和感の原因が特定しやすくなるんです。


第5章:「整ってるのに違和感」は“文脈”を無視してるから

ここが、経験者ほど見落としやすい落とし穴。

「パーツごとは綺麗にできてる」
「理屈としては正しい構成」
「色も問題ない、フォントもOK」
──なのに、なぜか全体が気持ち悪い。

こういう時に起きてるのは、**“文脈のミスマッチ”**です。

たとえば、
・ビジネス向けの資料に手書き風フォントを使う
・高級ブランドのLPにカラフルすぎるボタンを置く
・大人向けのサロンにポップなアイコンを使う

これ全部、文脈を読めてない例なんですよね。

パーツ単体はOKでも、「どこで、誰に、どう見られるか?」という文脈を無視すると、全体がチグハグになります。

これは服のコーディネートに似てます。
「トップスもボトムスも靴もおしゃれなのに、なんかダサい」って時あるでしょ?
あれって“場に合ってない”とか“テイストが混ざってる”とか、そういう理由じゃと思うんよ。

デザインもまさにそれで、
整ってるのに違和感がある時は、“文脈レベルでの違和感”が起きている。

経験者は設計スキルが高い分、こうした“文脈ズレ”が起きても表面的には気づきにくくなります。
だからこそ、常に「このデザインは、この状況に合っているか?」と自問するクセが必要なんですね。


第6章:違和感の対処法①──“言語化リスト”を持っておく

実務で活かすためには、違和感の正体を明文化するツールがあると便利です。
僕がおすすめするのは、“違和感チェックリスト”を自分なりに作っておくこと。

たとえば、こんな項目を持っておくと便利。

  • 【印象】このデザインはどんな感情を引き出す?
  • 【役割】この要素の役割は何?視線誘導?装飾?導線?
  • 【文脈】誰に見せる?どんな状況で?
  • 【トーン】色・形・余白感がターゲットに合ってる?
  • 【体験】ユーザーが「気持ちよく流れを感じられる」か?

これをクライアントと共有してもいいし、自分用のチェックにも使えます。

要は、
**「気持ち悪い=失敗」じゃなく、「気持ち悪い=ズレてるだけ」**という感覚を持つこと。
そしてズレを見つけるのは、感覚よりも“言語”のほうが効率的なんです。

第7章:違和感の対処法②──“感覚のログ”を残す習慣

もうひとつの対処法は、自分の“感覚の履歴”を残すことです。

たとえば、

  • なぜかこの色が気持ち悪く感じた
  • この余白は広すぎる気がした
  • このフォント、文脈に合ってない気がする

──こういった「なんか引っかかった」という微細な感覚を、言葉にしてメモしておく

感覚って、その瞬間は鋭いけど、忘れるのも早いんよね。
でも、過去の“違和感の記録”を見返すと、
「あ、あのときも“線が細すぎて弱く見えた”って思ってたな」
「“角が丸すぎて安っぽく見えた”って記録しとったな」
──みたいに、感覚のパターンが見えてくるんです。

これが自分だけの“美意識辞書”になっていく。

経験者は特に、知識やテクニックが豊富な分、
“なんとなくで処理しがちな違和感”を見落としがち。

でも、感覚こそが経験者の財産。
それを言語に変えることで、さらに武器になるんです。


第8章:違和感の正体を掴んだ先にあるもの

最後に。

「違和感を言語化する」って、
言い換えれば「無意識を意識化する」ってことです。

  • なぜそれが気になるのか
  • どこにズレがあるのか
  • それをどう整えるのか

こうしたことを言葉で捉える力は、
デザイナーとしての“言語と思考の筋トレ”になります。

そしてそれは、単なるデザインスキルを超えて、
戦略設計やクライアントワークにも直結していく。

「なんか気持ち悪い」を
「こうだからズレてるんですよ」って伝えられると、
相手からの信頼度も段違いです。

違和感は敵じゃない。
違和感は、デザインの“ナビゲーター”なんです。

だから僕は、違和感が出てきたら、ちょっと嬉しい。

「あ、ここにヒントがあるな」って。
「もっとよくできる余白があるな」って。

そんなふうに、違和感と仲良くなっていけたらええなと思います。


おわりに:違和感の言語化、試してみませんか?

ここまで読んでくださってありがとうございます。

この記事が「なんか気持ち悪い」を解消するヒントになれば嬉しいです。
「自分のデザインに違和感があるけど、言語化できない」
「誰かに客観的に見てもらいたい」
──そんなときは、お気軽に相談してください。

感覚を言葉にするお手伝い、得意です。

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