第1章:「使いやすい」だけじゃ、もう足りない時代
いま、世の中には星の数ほどのアプリやサービスが存在しています。
「便利なだけ」じゃ記憶にも残らず、「UIが洗練されてるね」だけではファンは生まれません。
実際、プロダクトを育てていくと、こんな場面に直面することがありませんか?
- 「機能はいいけど、なんか味気ない…」
- 「同業のサービスと、何が違うのか伝わらない…」
- 「ユーザーの熱量がいまいち続かない…」
この原因の一つに、“キャラ不在のUI”という問題があります。
第2章:そもそも「UIにキャラがある」ってどういうこと?
「キャラクターっぽいマスコットがいればOK」ってことじゃないんです。
UIの“キャラ”とは、もっと広い意味での“人格”や“感情”の設計”を指します。
たとえば:
- LINEのスタンプ感覚で気軽に使えるボタン
- Apple製品のような凛とした静けさを感じさせる配色
- Slackのエラー画面のような、ちょっとしたユーモア
これら全部、UIに込められた「キャラ設定」があるからこそユーザーの記憶に残るし、愛されるんです。
🔹UIの“キャラ”があると何が起こる?
- 共感が生まれる:「あ〜、わかってるわこの設計!」ってなる
- ブランドの印象が残る:「あのアプリってなんか好きだったな」になる
- UI自体がコミュニケーションになる:「このアプリ、性格あるわ〜」って思われる
つまり、“キャラ”のあるUIは、人間関係のように愛着を育てられるんです。
第3章:実例で見る「キャラのあるUI」たち
ちょっとここで、僕が「これはUIにキャラがあるな」と思ったプロダクトを紹介します。
🟣1. Notion(ノーション)
NotionのUIは、めちゃくちゃ静かで洗練されてる。
だけど、アイコンのゆるさやダークモードの美しさ、そして操作のサクサク感がまるで“優等生だけど気が利く助手”みたいなキャラを醸し出してるんですよね。
無口だけど、隣にいてくれる感じ。ウザくない。でも頼れる。
この“絶妙な距離感”が、使っていて心地いい。
🟠2. Pinterest(ピンタレスト)
PinterestのUIは、「あなた好みの世界観をもっと見て!」と語りかけてくるような“感性派の友達”っぽさがある。
- 無限スクロールの誘惑
- 情報過多にさせない間のとり方
- ボード機能のネーミングやアイコンのセンス
この“ちょっと中毒性ある感じ”、キャラがあるUIじゃないと出せないんですよ。
🔵3. Discord(ディスコード)
Discordは「ちょっとオタクっぽいけど、めっちゃ親しみやすい先輩」って感じ。
- フォントの選び方
- アイコンの角丸具合
- メッセージのリアクションの気軽さ
オタク文化に根ざしながらも、UIに遊び心がありつつ操作性も◎。
まさにキャラ立ちしてるUIの好例です。
【2/3】
第4章:キャラのあるUIは“感情”を動かす
ここからは、UIにキャラがあるとなぜユーザーの心に刺さるのか?を心理学やマーケ視点で分解していきます。
🔹「キャラ = 擬人化」である
「キャラのあるUI」というのは、ユーザーとの距離を縮める“擬人化”の技法でもあります。
心理学的に、人は無機質なものよりも人間味のあるものに親しみを感じる傾向があります。
これを「擬人化効果(personification effect)」といいます。
たとえば:
- 冷蔵庫に「しゃべる機能」がつくだけで愛着がわく
- 自動販売機が「ありがとう」と言うとなんか嬉しい
- SiriやAlexaが、ちょっとしたジョークを返してくると印象が変わる
UIにもこの原理がバリバリ効いてきます。
UIが「個性」を持つことで、ユーザーの“記憶”に残るんです。
🔹感情が動けば、記憶に残る
脳科学では、「記憶」は感情とセットで定着すると言われています。
- 感動した映画は覚えてる
- 恥ずかしかったミスは忘れられない
- ムカついたアプリのUIは今でも言える
つまり、UIが“キャラ”によって感情を動かすことができれば、「また使いたい」という循環が自然と生まれるんです。
逆に言えば、「完璧に整った無個性なUI」は印象に残らない。
それが“優秀だけど地味なUI”が埋もれてしまう理由でもあるんですよね。
第5章:UIのキャラがブランドの“人格”をつくる
ブランディングの世界では、「ブランドに人格を持たせる」という考え方が定着しています。
たとえば、
- Nikeは「挑戦者」
- Appleは「革新者」
- IKEAは「おしゃれで賢い庶民派」
これと同じように、UIもブランドの“人格”を語る手段のひとつです。
🟡UIとブランドトーンの一致が重要
ここで重要なのは、UIのキャラがブランドと矛盾しないこと。
たとえば:
- 高級スキンケアブランドのUIが「ポップでユーモラス」だったら、世界観が崩れる
- 若年層向けゲームアプリが「格式高い和風UI」だったら、違和感が残る
UIは“接客態度”のようなもの。
だからこそ、「そのブランドらしいキャラ付け」が求められるんです。
🔸こんな視点でUIを設計してみよう!
- うちのサービスが人だったら、どんな性格?
- ユーザーにどんな気分で使ってほしい?
- エラーを伝えるとき、どういう言い方が「その人らしい」?
この問いを立てることで、UIにもキャラが宿ってきます。
第6章:“キャラを育てる”という設計の視点
ここまで来ると、UIはただ「使いやすく作るもの」ではなく、育てる対象にもなってきます。
- 表示文言のひとつひとつ
- カーソルのアニメーション
- ローディング中のメッセージ
- 成功時や失敗時のエフェクト
こうしたディテールが積み重なって、“あのアプリの個性”になる。
ブランドやプロダクトの成長に合わせて、UIのキャラも進化していくことを意識して設計していくと、ユーザーとの関係性がどんどん深くなっていきます。
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第7章:UIに“キャラ”を宿らせるための3ステップ
ここでは、実際にUIにキャラをつけるための具体的なアプローチを紹介します。
🥇ステップ1:人格を設定する
まずは、そのプロダクトに合った“人格”を言語化することから始めましょう。
- 明るく元気な妹系?
- 寡黙だけど頼れる先輩?
- ユーモア好きな先生タイプ?
たとえば、僕が以前関わった医療系のアプリでは、
「ちょっと気の強いけど頼れる女医さん」っていう設定でキャラを作りました。
この“裏設定”があるだけで、UIの言葉選びやトーンが一気に一貫してきます。
🥈ステップ2:トーン&マナーのルールを整える
キャラが決まったら、言葉遣いや感情表現のトーンを定義します。
- 敬語 or タメ口?
- 絵文字は使う?
- 説明文はやわらかく?それともきっちり?
このトーンを設計せずにUIにキャラを付けると、
「ただフレンドリーなだけの統一感ないアプリ」になってしまうので要注意です。
🥉ステップ3:キャラ表現の“見せ場”をつくる
どこでキャラを出すか?にも戦略が必要です。
おすすめなのはこの3つのポイント:
- 初回起動時のウェルカムメッセージ
- エラー時やローディング中の“遊び”
- 操作完了時の“ほめ”や“応援”
特に②と③は、感情が動きやすい場面なので、
キャラが印象に残るチャンスでもあります。
UIのキャラは“ちょっとした余白”でこそ生きてくるんです。
第8章:やりがちな失敗と、その回避策
UIにキャラを付ける上でありがちな“落とし穴”も共有しておきます。
❌ NG1:「ウケ狙いでキャラを入れる」
たとえば、業務効率を求めるSaaSツールに「アニメ風キャラ」が出てくる…
ウケを狙ったつもりでも、現場ではウザがられることもあります。
→ 対策:ユーザーの状況と“どんな感情で使っているか”を優先する。
❌ NG2:「キャラが一貫してない」
エラーは丁寧口調なのに、成功時は急にフレンドリーとか…
これはユーザーが混乱する原因になります。
→ 対策:文体、語尾、表現ルールを“ブランドトーン”と連動させる。
❌ NG3:「作り手が盛り上がりすぎる」
チーム内では楽しく盛り上がっても、
ユーザーが置いてけぼりになるケースって意外と多いんです。
→ 対策:“デザイナーの自己満”と“ユーザー体験”のバランスを常に意識。
第9章:まとめ ─ UIも「愛されキャラ」で勝つ時代へ
ここまでをまとめると、UIにキャラを持たせることは──
- ユーザーとの距離を縮める
- 感情を動かし記憶に残す
- ブランドの人格を語る
- サービスの“らしさ”を育てていく
という、UIの持つ役割を最大限に活かす手段になります。
競合がひしめく今の時代、
「機能が同じなら、好きな方を選ぶ」のが人間の心理です。
その「好き」をつくるのが、
“キャラのあるUI”なんじゃと思うんですよね。
💬 デザイン相談してみませんか?
- 「うちのUI、キャラ出すとしたらどんな方向?」
- 「ブランドトーンに合わせた表現ってどう作るの?」
- 「言葉やアニメーションまで含めた提案がほしい!」
そんなお悩みがある方へ、
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以上、「UIに“キャラ”が必要な理由 ─ 愛されるプロダクトの共通点」でした!
この内容が、プロダクトをもっと「愛される存在」に変えるヒントになれば嬉しいです。
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