フォント選びは性格診断だ── 誰でもできるタイポグラフィの第一歩

フォント

第1章:フォントは「無意識の声」を伝えている

「このデザイン、なんか好き」
「この資料、読みにくい気がする」
そんな風に感じたこと、ありませんか?

その“なんか”をつくっている要素のひとつが、実は**フォント(書体)**なんです。

タイポグラフィというと、「センスのいい人がこだわってるもの」「玄人の世界」みたいなイメージを持つ人が多いかもしれません。
でも、僕から言わせてもらえば、**フォントは誰でも選べる「デザインの感性の入口」**なんよ。

言うならば「性格診断」みたいなもので、あなたの選ぶフォントが、あなた自身の感覚や価値観をそのまま表してしまう。
だからこそ、「どのフォントを選ぶか」ってめっちゃ重要で、その第一歩を踏み出すだけでも、デザインのレベルってぐっと上がるんよ。


第2章:なぜフォント選びが難しく感じるのか?

タイポグラフィが苦手って人、結構多いですよね。
その理由は大きく3つあります。

①選択肢が多すぎて迷う

Adobe FontsやGoogle Fontsなど、今や数千〜数万もの書体が手軽に使えます。
でも多すぎて、逆に「何が正解かわからん!」ってなる。

②意味より“雰囲気”で選びがち

「おしゃれそうだからこの書体にしよう」とか「なんとなくかっこいいから」みたいな“フィーリング選び”になってしまいがち。
でも、フォントは感情や文脈を伝えるツールなので、「なんとなく」で選ぶと、意図とズレた印象になってしまうんよ。

③デザイン全体との整合性が難しい

たとえば、ポップなロゴにシリアスな本文フォントを合わせたり、UIデザインで可読性が悪いフォントを選んだり。
「良いフォント」でも、「文脈に合ってるかどうか」が最重要なんよね。


第3章:フォントは“性格診断”で見抜ける

ここで僕が提案したいのが、フォントを「人の性格」に例えて考える方法
これ、初心者でもめっちゃ理解しやすいんよ!

フォントの分類性格タイプ特徴使用シーン
セリフ体(明朝体など)真面目、格式高い縦のラインが強く、文章に品格が出る書籍、新聞、企業の正式資料など
サンセリフ体(ゴシックなど)フラット、現代的線が均一で無駄がなく、可読性が高いWeb、プレゼン、UIなど
手書き風(Script)感性派、自由人柔らかく、感情豊かで親しみやすい招待状、ロゴ、POPなど
ディスプレイ書体個性派、インパクト重視飾りが多く、目を引く見出し、ロゴ、広告など

こう考えると、フォントって「この人を使うと、どんな空気になるか?」を想像するのに近いんよね。
まるでチームの人選をしてる感じ。


第4章:最初に押さえたい“3つの視点”

じゃあ、どんな視点でフォントを選べばいいのか?
ここでは、実践に役立つ3つの視点を紹介します。

1. 文脈(コンテクスト)

フォントは単体で選ぶもんじゃない。
「何について話しているのか?」が大前提。
たとえば…

  • 法律事務所のサイトに手書き風フォント → 信頼感が損なわれる
  • 子供向けイベントの告知に明朝体 → 真面目すぎて遊び心が伝わらん

コンテンツの温度感トーンを意識することで、フォントはグッと“ハマる”ようになります。

2. 組み合わせのバランス

見出しと本文、タイトルとキャプション。
複数のフォントを使うなら「役割」と「対比」を意識して。
ポイントは:

  • 同系色でコントラストをつけすぎない
  • 機能と飾りのバランスを取る
  • 強弱・太さ・間隔で“違い”を出す

これはファッションでいう“柄×柄はうるさい”みたいなもん。
おしゃれって引き算が大事なんよ。

3. 読みやすさと目的の両立

アートではなく「伝える」ためのデザインなら、可読性は命。
特にWebやスマホUIでは、細字や飾り文字は避けた方が無難。
でも“読めるだけ”じゃ味気ない。
だからこそ、「目的」と「個性」のバランスが大事なんよ。


第3章:フォントには「性格」がある

フォント選びを難しく感じる理由のひとつは、「どれを選んでも読める」からです。
でも本質はそこじゃないんですよ。読む“だけ”じゃなくて、“どう感じるか”の方が遥かに重要です。

たとえば、以下のようにフォントには性格(=印象や雰囲気)があります。

フォントの種類性格・印象の例
ゴシック体無機質、モダン、力強さ、ストレート
明朝体繊細、知的、上品、伝統的
手書き風親しみ、柔らかさ、ナチュラル
セリフ体フォーマル、クラシック、安定感
サンセリフ体シンプル、クール、現代的
デザイン書体個性的、目立ちたがり、尖っている

こうして見ると、まるで人間の性格診断みたいですよね?
そう、実際に**「フォント選びは性格診断」**なんです。

誰を主役にして、どんな性格を伝えたいのか。
それに応じて「性格が合うフォント」を選べばいいだけ。

ここまでくると、「フォント選び=センスの問題」じゃなくて「構造と相性の問題」だってわかってきます。


第4章:フォント選びの失敗あるある

ここで、僕がよく見かける「フォント選びの失敗あるある」も共有しときますね。

① 複数フォント使いすぎ問題

よくあるのが、「全部ゴシックじゃ味気ないから」って、
ゴシック・明朝・手書き風・筆文字…みたいに4〜5種のフォントを混ぜてしまうケース。

これ、本気でやばいです。文字がケンカして読みにくくなるし、
見た目がチグハグで“伝わる力”が激減します。

原則としては、多くても「メイン+サブ(1〜2種)」で十分。
個性を出したいときほど、「厳選」が命なんです。


② 世界観とフォントが合ってない問題

たとえば高級ホテルのサイトなのに、元気なポップ体が使われてるとか…
一気にチープに見えて信頼感が崩れちゃいます。

デザインって“見た目の派手さ”より“違和感のなさ”が大事なんですよ。

僕がよく言うのは、

「違和感がなければ、それはすでに洗練されてる」

という言葉。

フォントもまさにそれで、“選ばれてない”と思わせないフォント選びこそが、最強なんです。


③ “なんとなく好き”で選ぶ問題

個人の好みで「このフォント、かっこいいから使お」ってやっちゃうと、
読みやすさも伝わりやすさも全部落ちます。

フォントは「見せたいものをどう魅せるか」のパートナー。
“自分が好き”じゃなくて、“読んでもらう人がどう感じるか”で選びましょう。


第5章:初心者でも使える「フォント選び」4ステップ

じゃあ、実際にどうやって選べばいいの?って話ですが、以下の4ステップがめちゃくちゃ使えます。


ステップ①:伝えたい“性格”を言語化する

まず、「このデザインではどう感じてほしいか?」を明確にします。

  • 上品にしたい?
  • 柔らかくしたい?
  • 力強く、インパクトを出したい?

これが軸になります。


ステップ②:「伝えたい性格」に合うフォントを探す

さっきの表や事例を使って、性格に合うフォントを2〜3候補ピックアップします。


ステップ③:並べて比較する

同じ文章を、選んだフォントで並べて見てみる。
たったこれだけで「印象の違い」がめっちゃくちゃ明確になります。


ステップ④:主役とサブを分ける

  • 見出しにはインパクトのあるフォント
  • 本文には読みやすいフォント

というように、“役割”に応じて使い分けると整って見えます。


ここまでやると、もう「なんとなく選ぶ」ことがなくなってきます。
しかも、“ちゃんと意図がある”から、他人に説明できるんよね。

これができるだけで、「プロ感」は一気に爆上がりです。


第5章:フォントの「人間性」に気づいたとき、デザインは変わる

僕がデザインを教える中で一番伝えたいのは、「フォントにも人格がある」ということです。

これは比喩でもなんでもなく、本気でそう思っています。
あるフォントは几帳面で、あるフォントは自由奔放。
あるフォントは真面目で誠実だけど、あるフォントは遊び心に満ちてる。

この感覚に気づくと、デザインは「ただ整える」作業から、「対話しながら魅力を引き出す」作業に変わってきます。

クライアントが「うちのブランドをもっと信頼感あるものにしたい」と言ったとき、
単に“かっこいいフォント”を選ぶんじゃなくて、
「信頼される人格とは?」という問いを持ちながらフォントを選ぶ。

そんな風に“人格視点”で選んだフォントは、ブランドに血が通い始める。
それは結果的に、見る人の心を動かすんです。


第6章:デザイン初心者に贈る、フォント選びのおすすめ3ステップ

最後に、「どこから始めればいいか分からない」という方向けに、フォント選びの第一歩をステップでご紹介します。

ステップ1:フォントの「カテゴリ」を理解しよう

まずは基本的なカテゴリ分けを知ることから。
以下の4種類をざっくり覚えるだけでOK。

  • 明朝体:上品・繊細・知的
  • ゴシック体:シンプル・力強い・現代的
  • 手書き風フォント:柔らかい・親しみやすい・人間味
  • ディスプレイフォント(装飾系):個性的・ユニーク・主張強め

これだけでも、ある程度の「性格診断」ができます。

ステップ2:実際に比べてみる

同じ言葉を複数のフォントで表示して、印象を比べてみてください。
「愛」「自由」「革命」といった感情的な言葉がオススメ。
フォントのキャラが際立ちやすいです。

ステップ3:「誰に向けて」「どんな気持ちを届けたいか」を考える

フォント選びの最終判断は、「伝えたい感情」ベースで。
信頼感を出したいのか?
元気や明るさを届けたいのか?
それとも静かで凛とした空気を纏わせたいのか?

この問いに対する答えが、あなたのフォント選びを導いてくれます。


おわりに:フォントは、無言の語り部である。

フォントは、言葉を超えて「人格」を伝える。
デザインにおける“無言の語り部”です。

だからこそ、ただの見た目だけで選ばずに、
「このフォントは、どんな人だろう?」と問いかけてみてください。

その瞬間から、あなたのデザインは、
“無機質なレイアウト”ではなく、“魂のこもった表現”へと変わっていくはずです。

タイポグラフィは難しくない。
それは「性格診断」から始められる、いちばん身近なデザインです。


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