はじめに:「センスの問題」じゃなく「構造の問題」です
デザイン初心者だけでなく、ある程度経験を積んだ方でもよくある悩み。
「なんか色がうるさいんよ…」
「色数そんなに多くないはずなのに、まとまらん」
「ごちゃっと見える理由がわからん」
…これ、めちゃくちゃよく聞きます。
実はこの問題、**配色センスの話ではなく、構造(考え方)**の話なんです。
今回の記事では、色がごちゃごちゃ見えてしまう原因をロジカルに解剖しつつ、
誰でも実践できる「3色ルール」と「配色の黄金バランス」を徹底的に解説していきます。
第1章:色が“うるさく”なる3つの原因
まず、なぜ「色がごちゃごちゃ」してしまうのか?
その原因を明確に言語化していきましょう。
1.1|色数ではなく「役割の整理」ができていない
「3色にしたのにまとまらん」という人、けっこういます。
でも問題は色数ではなく、色に“役割”が割り当てられていないことなんです。
色が「なんとなく選ばれてる」状態だと、
脳は「意味のない差異=ノイズ」として認識します。
1.2|彩度・明度がバラバラで目が泳ぐ
いわゆる“カラフル病”の正体です。
たとえ色相が違っても、彩度と明度に統一感があれば案外落ち着いて見えるんですが、
それがバラバラだと目が泳ぐし、焦点が定まらんのよ。
1.3|アクセントカラーの“主張のさせすぎ”
配色の中に「目立たせる色=アクセント」を入れるのは基本ですが、
その使い方が面積的にも心理的にも“主役化”しすぎてると、全体のバランスが崩れます。
たとえば、
- CTAボタンに真っ赤を使う
- その周辺にも赤系グラフィックが複数ある
- 見出しも赤、アイコンも赤
…ってなると、ユーザーはどこを見ればええんかわからんのんよ。
第2章:色には「役割」を持たせろ
ここで大前提を置いておきたいのがこれ👇
色とは“意味を伝える記号”である。
色は、ただの「飾り」ではなく、
ナビゲーションであり、強弱であり、空気感の演出装置です。
2.1|基本構成:「ベース/メイン/アクセント」の3階層
配色設計では、この3つを必ず意識します。
役割 | 意味 | 面積比率(目安) |
---|---|---|
ベースカラー | 全体を支える背景や余白の色 | 約70% |
メインカラー | ブランドイメージの核となる色 | 約25% |
アクセント色 | 目を引き、注目を集める色 | 約5% |
2.2|役割が決まれば“うるさく見えなくなる”
この考え方を導入すると、「なんでこの色がここにあるん?」という違和感が減ります。
逆にいうと、役割が不明瞭な色は、“ただの異物”として処理されるんです。
2.3|色は「声量」をコントロールせよ
色って、例えるなら「人の声」みたいなもんです。
全員が大声でしゃべったらうるさい。
誰かが落ち着いた声で話すからこそ、主役が引き立つ。
→ 配色は“声量のミックス”と捉えると、直感的にも整理しやすくなるけん、おすすめ。
第3章:「3色ルール」ってどう守るの?
「3色ルール」と聞くと、「3色しか使っちゃダメなん?」と思われがちですが、
正しくは、“主要カラーを3つに絞る”という設計ルールです。
3.1|3色ルールの内訳と応用
- ベースカラー(背景・余白に使う色)
- メインカラー(ブランド感やイメージ色)
- アクセントカラー(目を引かせたい場所)
この3色を決めた上で、
その派生(濃淡・グラデーション・類似色)を展開するのはOKなんです。
3.2|トーンをそろえるだけでプロ感が出る
3色の選定で迷ったら、まずはトーン(明度・彩度)をそろえる。
「スモーキー系で統一」
「パステル系でまとめる」
このだけで、驚くほど印象が整います。
第4章:「色数が多い」のではなく「色の距離が遠い」だけ
配色がごちゃつく原因って、単純に色数じゃないことが多いんです。
本当の原因は、“選んだ色の距離感”が遠すぎることにあります。
4.1|色相・明度・彩度の「距離感」が混乱を生む
たとえばこの組み合わせ👇
- ビビッドな赤(高彩度・高明度)
- ダークネイビー(低彩度・低明度)
- エメラルドグリーン(中彩度・中明度)
この3つ、色数は3つなのにどう見ても落ち着かん。
理由は、色の性質がバラバラすぎて視覚の“リズム”が取れないから。
4.2|“配色の距離”を近づけるテクニック
配色バランスを整えるなら、以下のどれかで“距離感”を縮めることが有効です。
- トーン(明度×彩度)を近づける
- 色相(色み)を類似系に寄せる
- 白/黒/グレーを混ぜて落ち着かせる
とくに、“トーンで揃える”のはプロの現場でも基本中の基本。
4.3|「濁らせる」勇気が、配色を整える
初心者ほど「ビビッドな原色」を使いがちなんですが、
プロほど「濁らせた色」を使ってます。
なぜなら、濁色(にごりいろ)の方が主張が抑えられて、他の色を活かせるから。
例)
- ベース:グレージュ
- メイン:くすみブルー
- アクセント:ディープオレンジ
この組み合わせ、派手すぎず、でも“地味にかっこええ”印象になります。
第5章:黄金バランス「70:25:5」の魔法
前章で軽く触れた配色バランス、ここでしっかり深掘りします。
5.1|配色構成の黄金比
項目 | 役割 | 面積比率の目安 |
---|---|---|
ベースカラー | 空気感・背景・余白 | 約70% |
メインカラー | ブランドの印象を支配する色 | 約25% |
アクセント色 | 強調・誘導に使う色 | 約5% |
この「70:25:5」のバランスを守るだけで、
見た目が一気に“プロの仕事”になります。
5.2|バランス崩壊の例と改善法
NG例:
- 背景:ライトグレー(60%)
- メイン:赤(25%)
- アクセント:黄色(15%)
→ 結果:全体がちかちかして安定感がない
改善例:
- 背景:ライトグレー(70%)
- メイン:ネイビー(25%)
- アクセント:オレンジ(5%)
→ 結果:落ち着いた中にしっかりと強調が効く
5.3|面積だけでなく“心理比率”にも配慮せよ
配色比率の面白いところは、実際の面積以上に“目に入る印象”が左右されることです。
たとえば、真っ赤なCTAボタンは小さくても「目に入る率」が高い。
つまり、心理的には「面積以上に目立ってる」んです。
だからこそ、**“目立ちすぎる色は少なめに使う”**が鉄則になります。
第6章:ツールに頼らず“言語化”して配色を決めよう
最近はカラーピッカーや配色ツールも多くて便利ですが、
それだけだと配色が“人任せ”になるリスクもあります。
6.1|自分の“印象”を言葉で決めてから色を選ぶ
僕がよくやるのはこれ👇
- まず「どんな印象にしたいか」を言語化(例:清潔感・知性・安心感)
- それに合う色の“属性”を考える(例:明度高め・彩度低め・寒色系)
- 最後にツールで該当カラーを探す or 自作する
これができるようになると、
配色で迷う時間も減るし、「色の根拠」が生まれて自信を持てるようになるけんね。
第7章:よくある“ごちゃ配色”を添削してみた
ここでは実際にありがちな配色パターンを例にして、
なにが問題で、どう直せばいいかを解説していきます。
7.1|事例1:配色が「全部主役」になっているケース
構成:
- 背景:白
- 見出し:赤
- ボタン:オレンジ
- アイコン:青
- アニメーションに黄色の光が点滅
問題点:
色数は4〜5色程度なのに、**“全部が前に出てきてしまう”**構成。
これじゃあ、ユーザーの目線が定まらんのんよ…
改善ポイント:
- 見出しはネイビーなどの“中彩度寒色”に変更して落ち着かせる
- アクセントカラーをオレンジに絞り、それ以外は抑える
- アイコンはグレー系にしてサブ要素に徹する
→ 結果:視線誘導が明確になり、落ち着いた印象に!
7.2|事例2:色は悪くないけど“面積バランス”が崩壊
構成:
- ベース:ライトグレー
- メイン:くすみブルー
- アクセント:ビビッドイエロー(面積大)
問題点:
配色のセレクト自体は今っぽいのに、
アクセントの“面積がでかすぎ”て全部持っていかれるパターン。
改善ポイント:
- 黄色の使用面積を絞り、「CTAボタンのみ」に限定
- ヘッダーやフッターに使っていた黄色を、メインカラーと同系色に置き換え
→ 結果:アクセントが“効く場所だけに効く”ようになって引き締まる
第8章:配色チェックリスト(保存版)
最後に、配色で迷ったときに使える簡易チェックリストをつけておきます!
制作中にパッと見返せるように、テンプレートとして使ってください。
✅配色セルフチェックリスト
チェック項目 | YES / NO |
---|---|
色ごとの「役割」が明確になっているか? | ✅ / ❌ |
配色が「70:25:5」の黄金バランスになっているか? | ✅ / ❌ |
色の“トーン”が近い(統一感のある)グループになっているか? | ✅ / ❌ |
アクセントカラーが“目立ちすぎていない”か? | ✅ / ❌ |
“印象”→“色選び”の順番で決めているか? | ✅ / ❌ |
濁色や中間色を使って“主張の強弱”を設計しているか? | ✅ / ❌ |
全部YESになったら、配色バランスはかなり良好なはず◎
一個でもNOが多い項目があったら、そこを重点的に見直すのがおすすめです。
💬ごちゃつく配色、お悩み相談受付中!
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
「色って難しい…」「うまくまとまらん…」と感じたあなたへ。
- 「配色を一緒に見てほしい」
- 「3色ルールを具体的に適用してほしい」
- 「ブランドの印象と配色のギャップを相談したい」
そんなときは、お気軽に以下のフォームからご連絡ください👇
📩 無料デザイン相談フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1fptnXOg0HCzFWKg1Xldgi_IRyiHv3vwV-5uLtUMFA1s/edit
✍️おわりに:色は「整えるため」にある
色は、目立たせるためのもの。
だけど本当に上手い人は、**“整えるために色を使う”**んです。
色が整えば、視線が整う。
視線が整えば、印象が整う。
そして、印象が整えば──デザイン全体が“伝わる”ようになる。
それを実現するために、今回紹介した「3色ルール」や「黄金バランス」を、
ぜひあなたの現場でも使ってみてください。
また次の記事でお会いしましょう。
読んでくれてありがとう。
ほいじゃの〜!
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