はじめに:なぜ「メッセージ」より「印象」なのか?
こんにちは、デザイナーの僕です。
今日は少し切り込んだテーマを扱いたいと思います。
僕はこれまで20年以上、さまざまな業界・企業・個人とデザインを通じて向き合ってきました。
その中で確信しているのがこの一言。
“なにを伝えたいか”より、“どう思われたいか”を先に考えろ。
これは、単なるテクニック論じゃありません。
ブランディングの本質に関わる思考法であり、
多くのデザイナーやクライアントが意外と見落としがちな視点なんです。
第1章:「伝えたいこと」が溢れてしまうワナ
多くの現場でよくあること。
クライアントが「伝えたいこと」を次々と出してくる。
商品のスペック、こだわりの素材、開発者の情熱、受賞歴、価格の安さ…。
ぜんぶ載せたい。ぜんぶ大事。
…わかります。めちゃくちゃわかります。
でも、それ全部出した結果──
ユーザーの頭には何も残らんのんよ。
“情報”が“印象”を塗りつぶす
たとえば、めちゃくちゃ情報が詰め込まれたLPを見てみましょう。
- 写真はキレイ
- テキストも詳しい
- 実績もちゃんと書いてある
それでも“なんか印象に残らん…”という場合、
それは「印象設計が欠けている」からです。
つまり、
“何を言ったか”ではなく、“どう見られたか”が抜けてるんです。
第2章:“どう思われたいか”を言語化する力
ここで逆転の発想。
「伝えたいことをまとめる」のではなく、
まずは**“どう思われたいか”を言語化する**ことから始める。
これはブランディングにおいて、めちゃくちゃ重要なポイントです。
たとえば、こんな問いから始めてみる
- このブランドを「一言で例えると?」
- 商品を見た人に「どんな印象を持ってほしい?」
- 逆に「どんなふうには絶対に思われたくない?」
- 類似サービスと比べて「どんなイメージで差をつけたい?」
これ、めちゃくちゃ地味なんですが、
ここをスルーすると、デザインの軸がブレる。
結局、「見た目」って印象操作のための設計なんよね。
なのにその“印象のゴール”が曖昧だと、どれだけ綺麗なビジュアルを作っても刺さらんのです。
第3章:印象設計 → メッセージ設計 の流れ
ここで、僕がよく使ってる順番を紹介します。
この順番でブランド構成を考えると、デザインも迷いが減るけんオススメです。
STEP1:「どう思われたいか」を決める(=印象設計)
まずはブランドや商品が**“どう見られたいか”を一言で定義**します。
たとえば…
- 「信頼できそう」
- 「オシャレで感性が高そう」
- 「誠実そう」
- 「尖ってて新しい」
- 「熱量がある」
この時点では、まだ具体的な言葉やビジュアルはなくてもOK。
空気感、ムード、印象ベースでOK。
STEP2:「それっぽい言葉」を選ぶ(=言語設計)
次に、その印象に合う「言葉のトーン」を整えていきます。
例えば、「信頼されたい」なら…
- 表現は控えめ
- トンマナは丁寧
- 数字や実績を補足する
- 過度な演出は避ける
逆に、「尖って見せたい」なら…
- コピーは短く強く
- ビジュアルにパンチ
- 常識を少しズラす表現を入れる
こうやって、“印象→言葉”の整合性をとっていくんです。
STEP3:「それっぽい見た目」に落とし込む(=ビジュアル設計)
そして最後に、言葉で構成された印象をビジュアルに変換します。
- 写真のテイスト
- 余白の使い方
- フォントの角の丸さ
- カラーコントラストの強さ
- アニメーションの速度
こういった細部がすべて、「印象の翻訳装置」になるんです。
第4章:“思われたい姿”と“現実”のギャップを埋める
ここまでで、
「どう思われたいか → どう伝えるか」の重要性を話してきました。
でも現場では、「思われたい姿と現実がズレてる」こと、めちゃくちゃ多いんですよね。
「誠実に見せたい」けど、価格が強気
→ それ、相手には“自信過剰”って見えるかも?
「スタイリッシュにしたい」けど、ロゴが古い
→ どれだけ洗練されたUIでも、ベースの印象が足引っ張ってしまう
「遊び心を出したい」けど、色数を増やしすぎる
→ 統一感が失われて“うるさい”印象になる可能性も
このギャップを認識し、どこを調整すべきかを設計できるのが、ブランディングデザイナーの仕事なんです。
“思われたい姿”は、背伸びじゃなくて「未来の自分」
僕はよくこう言います。
「ブランドの見せ方は、今の自分ではなく、“なりたい未来”に合わせるべきじゃけん。」
これは、自分を偽るって意味じゃない。
一歩先の理想像を引っ張ってくる勇気のこと。
第5章:「思われたい印象」から逆算する実践テンプレ
ここでは、僕が実際にクライアントとやりとりする時に使う**“印象逆算テンプレ”**を共有します。
そのままワークシート化しても使える内容なんで、ぜひ手元で試してみてください。
🔍【印象逆算テンプレ】
- このブランド・サービスは、どんな印象を与えたいですか?
例:「安心感」「勢い」「知性」「親しみ」「ラグジュアリー」など - 逆に、絶対に持たれたくない印象は?
例:「安っぽい」「古臭い」「不安定」「馴れ馴れしい」など - あなたの商品やサービスの特徴を、ひと言でいうと?
例:「機能性の高さ」「独自性」「スピード感」など - 競合と比較して、どこで“印象の差”をつけたいですか?
例:「デザイン性」「コンセプト」「世界観」「情報の見せ方」など - “印象”を具体的に伝えるために使いたい言葉や表現トーンは?
例:「〜しません」「〜だけは譲れません」「〇〇なあなたへ」など - その印象を支える“デザイン要素”は?
例:「角丸をやめる」「明朝体で上品に」「写真は白背景で統一」など
このテンプレ、たった6問なんですが、
**「ブランド=印象の設計図」**を描くには充分すぎるツールです。
特に、社内での認識共有や、発注側がデザイナーに意図を伝えるとき、めちゃくちゃ役立ちます。
第6章:「伝えたい情報」は“印象の補足”でしかない
じゃあ、「伝えたいこと」はもういらんの?って思われるかもしれんけど、そうじゃないんです。
大事なんは、順番と位置付けです。
印象が「入口」
↓
情報は「補足」
↓
行動が「目的」
この順番を守らずに、「情報→印象→行動」って流すと、
ユーザーの頭の中では、情報がただの“文字の塊”としてスルーされてしまう。
でも、印象→情報 という順番なら、
「気になる」「もっと知りたい」「調べてみよう」っていう“感情ベースの行動”に繋がるんよ。
💡まとめ:印象設計はブランディングの“根っこ”
- デザインは、情報を整えるためのものじゃない
- 見た瞬間に「どんな人・会社っぽいか」が伝わるための“印象装置”
- だからこそ、“どう思われたいか”を設計することがすべての起点
第7章:実例で見る「印象設計 → デザイン変換」
ここでは実際のデザイン現場であったパターンを2つ紹介します。
“どう思われたいか”が先にあると、デザインがどう変わるのか──リアルな変化を見てください。
◆事例1:美容室のLPデザイン
Before(言いたいこと先行)
- トリートメントの種類が多すぎて情報過多
- 「髪にいい」「高級」「丁寧」など漠然としたコピーばかり
- 全体的に“美容師目線”になっており、来店者の印象が薄い
After(印象設計ベース)
- 「上質で、静かな非日常」をテーマに印象を設計
- カラートーンを「くすみ系+ホワイトベース」に統一
- キャッチコピーは1行だけ:「誰にも邪魔されない、あなた専用の時間。」
結果:
CV率が2.5倍にアップ
「なぜかこのページだけ落ち着く」という声が続出
◆事例2:士業系ホームページ
Before(実績重視)
- 開業年数・取り扱い件数など数字ばかり並んでいた
- 色も黒・グレー・赤でやや堅苦しく、プレッシャーを与えていた
After(印象先行)
- 「相談しやすい・頼れる“お兄さん感”」を演出した印象を目指す
- フォントは丸ゴシックに変更、色味もネイビー+ミントグリーンへ
- 写真もビジネスポートレートから、軽く笑顔のカットへ変更
結果:
問い合わせ数が月10件以上増加
相談前に「話しやすそうだったから」と言われることが増えた
第8章:「印象=ブランド」という覚悟を持て
ブランドとは、「何をしてるか」よりも、「どう見えているか」です。
そして、その“見え方”は、すべての言葉・色・構図・空気感から滲み出てる。
だから僕たちデザイナーは、
視覚で世界観を整えることを生業にしてるんです。
“なにを伝えたいか”より、“どう思われたいか”を先に考える
このマインドが、クライアントにも、そして自分自身のブランドにも、確実に効いてきます。
🔁おさらいまとめ
項目 | 意識すべきこと |
---|---|
伝えたいこと | 情報ではなく「印象」の補足 |
ブランドとは? | 記号化された“思われ方” |
デザインとは? | 印象を言語からビジュアルに翻訳する技術 |
成功の鍵 | 「らしさ」が先、機能は後 |
📩印象設計に悩んだら、気軽にご相談を。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この記事を読んで…
- 「ウチのブランド、どう思われてるんじゃろ?」
- 「もっと“らしさ”が伝わるデザインにしたい」
- 「印象から逆算したLPやバナーを作りたい」
そう思った方は、ぜひお気軽にご相談ください👇
📩 無料デザイン相談フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1fptnXOg0HCzFWKg1Xldgi_IRyiHv3vwV-5uLtUMFA1s/edit
👋さいごに
見た目の正解なんて、時代によって変わっていく。
でも、「どう思われたいかを意識すること」は、
ブレないブランドをつくるうえで、絶対に必要な思考です。
僕自身も、デザイナーとしてじゃなく、
“印象づくりのパートナー”として、関わる人たちのブランドを育てていきたい思うとります。
また、次の記事で会いましょう。
読んでくれて、ありがとう。
ほいじゃの〜!
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