1. はじめに
最近、X(旧Twitter)をスクロールしていると、やたらと目に飛び込んでくる広告がある。
一目でわかる“ギラギラ系”のものもあれば、逆に無駄を削ぎ落とした“ミニマル系”のものも。
両者、真逆のようで、なぜかどちらも「刺さってしまう」。
この相反する二つの潮流が、なぜいまX広告で共存しているのか?
本記事では、UIの仕様、視覚心理、デザインの構造から
“今っぽい”広告ビジュアルの理由をひもといていく。
2. X広告の現状と特徴
✅ 広告出稿の敷居が劇的に下がった
Xの広告は、他のSNS広告と比べても出稿コストが比較的安く、ターゲティングの自由度も高い。
そのためD2C(直販)ブランドから副業系、マッチング系、教育系まで、さまざまなプレイヤーが参入している。
✅ 「広告っぽくない」が命取りになるUI
XのUI仕様上、広告と通常投稿の境界線がかなり曖昧で、見た目がフラット。
一見「広告感を出さないほうがクリックされる」ように思えるが、実際にはその逆で、
「パッと見で“何か違うぞ?”と思わせられるか」が重要。
3. 流行しているデザインの傾向
🔥 ギラギラ系:情報量爆盛り&煽り
- 赤・黄色・ピンクなどの原色
- 太字、囲み文字、強調マーカー風
- 3〜4枚のスライド形式で構成され、情報を次々に流し込む
- GIFやアニメーション風の演出も多用
→ まるで90年代のバナー広告のようだが、
一周回って「逆に新しい」と感じさせる“ギャップ戦略”として機能している。
✨ ミニマル系:洗練された1メッセージ
- 白背景+黒文字+商品画像のみ
- フォントは整いすぎていない、少し人間味あるもの
- キャッチコピーは1〜2行、ボタンはシンプル
→ “考えなくても伝わる”コピーや構造が命。
4. なぜ“刺さる”のか?心理的背景と構造
👁🗨 スクロール環境で求められる「視覚のフック」
現代人のSNS視聴時間は1日平均1.5〜2時間。その中でX広告が目に入るのは一瞬。
その“一瞬”をフックに変えるのが、視覚的な「引っ掛かり」。
- ギラギラ系:視覚的に“うるさい”ことで強制的に視線を奪う
- ミニマル系:シンプルで逆に「ん?」と一瞬止まらせる
🧠 認知バイアスを使った構造設計
- 「単純接触効果」:毎回見かけることで信頼度が上がる
- 「一貫性の原理」:最初に刺さるとクリックまで流れがスムーズ
- 「視覚的プライミング」:色や形状が即座に感情に訴える
5. 事例:ミニマルとギラギラの成功パターン
【ミニマル系】
- 化粧品系D2C広告:白背景に商品のみ。テキストは「1日たった10秒で、肌が変わる。」
- サプリ系:イラストも文字も一切排除、「◯◯だけ飲めばOK」の一点訴求
【ギラギラ系】
- 副業広告:年収1000万突破!みたいな煽り+ビフォーアフター演出
- 恋愛系:心理テスト風の構成で「あなたは◯◯タイプです」みたいなCTA
6. デザイナー目線での考察と今後の見立て
💡 ギャップが“止める力”になる
情報量が多すぎても、なさすぎてもスルーされる。
両者に共通するのは「明確な狙いと温度設計」。
- ギラギラ=煽り・勢い・熱量
- ミニマル=洗練・誠実・静寂
この“温度差の設計”が、視覚的なコントラストを生み、止まって読ませる構造になっている。
🤖 AI生成との融合が今後加速
- 画像生成AIでスピード感のあるABテストが可能に
- コピーライティングもAIと協業できる時代に
7. まとめ
X広告で見られる「ミニマル」と「ギラギラ」という真逆のアプローチ。
どちらが良い悪いではなく、“届けたい文脈に合っているかどうか”が鍵。
見た目の綺麗さやトレンド感に振り回されず、「誰に・何を・どう届けるか」という設計の力が
いま、これまで以上に求められている。
“美しいデザイン”よりも“使えるデザイン”──それを突き詰めていこう。
💬 デザインにお悩みの方へ
デザイン、どうしても納得いかない…そんなときは、まず相談してみてください。
あなたの「なんか違う」を一緒に言語化しましょう。
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