はじめに:なぜ“コンセプトの弱さ”が命取りになるのか?
デザインの現場でよく聞く言葉のひとつに、
「もうちょっと“コンセプト”を強くしてほしい」
というフィードバックがあります。
この言葉、実はめちゃくちゃ奥が深い。
単に“見た目の派手さ”や“かっこよさ”のことを言ってるんじゃないんです。
むしろ本質は、
「このデザイン、なんのためにこうなってるのか?」が説明できない
という“不信感”なんですよね。
この記事では、「コンセプトが弱い」と言われる理由を深掘りしながら、
「なぜ言語化できないと信頼されないのか」
そして「どうやって“強いコンセプト”を作っていけばいいのか」を掘り下げていきます。
第1章:そもそも“コンセプト”って何?
まず最初に、「コンセプト」の定義を整理しましょう。
よくある誤解はこれです:
「おしゃれな雰囲気」
「ナチュラルな感じ」
「ちょっと可愛く、でもかっこよく」
これ、全部コンセプト“っぽい”だけで、実はコンセプトじゃありません。
なぜかというと、これらはただの“印象”や“感覚”にすぎないから。
本来のコンセプトはもっと構造的で、目的と戦略を内包しているものです。
我々の定義:コンセプト=「目的 × 一貫性 × 言語化」
- 目的:誰に何を届けたいのか?
- 一貫性:全ての要素がその目的に沿っているか?
- 言語化:説明したときに「なるほど」と納得されるか?
この3つが揃って初めて、「それ、いいコンセプトだね」と言われる土俵に立てるんです。
第2章:“言語化できない”コンセプトは信じてもらえない
デザインは「目に見えるもの」ですが、
その裏にある「考え方」や「狙い」が見えないと、クライアントは不安になります。
例:Aさんのデザイン提案
- 見た目はおしゃれだけど、なぜその色?なぜそのフォント?と聞かれると詰まる
- コンセプトは「スタイリッシュでクール」くらいの説明しかできない
これ、一番信頼を失うパターンです。
なぜその色なのか?なぜその構成なのか?
それを論理的に説明できない=なんとなくやってると思われてしまう。
これは単に「ダサい・ダサくない」の問題じゃない。
“考えられていない”という印象そのものが、デザインの価値を下げてしまうんです。
第3章:なぜ“コンセプトが弱い”状態が生まれるのか?
そもそも、なぜ「コンセプトが弱い」状態に陥るのでしょうか?
原因①:「かっこよさ=正解」だと思い込んでいる
これは自分も昔やってたんですが、
“なんとなくトレンドっぽい”デザインを作って「ほら、かっこええやろ?」って出してた時期がありました。
でも、クライアントからの一言。
「で、なんでこうなってるんですか?」
もう、グサァーーーッよ…😂
どんなに良くできたビジュアルでも、理由が語れない=ただの装飾になっちゃうんです。
原因②:「誰のためのデザインか」が不明確
「誰のために」「何を伝えたいのか」が曖昧なままデザインを進めてしまうと、当然コンセプトもぼやけます。
- ターゲットが分かっていない
- 競合との差別化が曖昧
- 伝えたいメッセージが抽象的すぎる
これでは、“一貫性”も“意図”も作れないんよね。
第4章:コンセプトを“構造”で捉えるという発想
“強いコンセプト”を持つデザインには、共通して“構造”があるんよ。
この構造を可視化できると、言語化もしやすくなるし、伝わる説得力も格段に上がる。
コンセプトを構造化する3つの視点
①「誰に」
まずはターゲットの明確化。
これがあいまいだと、デザインの全体がブレる。
- 年齢・性別・職業・価値観
- どんな課題を持ってるか
- どんな言葉に反応するか
ターゲット像が見えれば、配色もフォントもトーンも決まる。
全部そこから逆算して導けるようになるけんね。
②「何を」
次に伝えたいメッセージ。
これは“キャッチコピー”みたいな単語じゃなくて、
「この人に、何をどう思ってもらいたいか?」
という“感情レベル”まで落とし込むのが理想。
③「どうやって」
ここで初めてビジュアル表現の選定。
カラー、タイポグラフィ、構図、写真、余白──全部がこの「誰に × 何を」の交差点で決まってくる。
第5章:“強いコンセプト”の作り方ステップ
STEP1:問いを立てる
コンセプト設計の第一歩は、“問いを立てる”ことから。
「なんでこのサービスが必要なのか?」
「なぜ今これを伝えなければならないのか?」
「このブランドは、世の中に何を提供したいのか?」
この“Why”が曖昧だと、全てがズレてしまう。
STEP2:キーワードを抽出して「核」を探す
サービスやクライアントの情報をもとに、
キーワードをどんどん書き出していき、共通点や重なりから“核”を抽出。
たとえば:
- 安心
- 丁寧
- 専門性
- 道案内
→ 共通するイメージは「信頼できるナビゲーター」
ここまでくると、
・色=落ち着いたブルー
・フォント=可読性高く堅実な書体
・構成=迷わず読み進められる導線
といった要素が“勝手に決まる”ようになってくる。
STEP3:構造にして「言語化」する
核が定まったら、「誰に」「何を」「どうやって」の3軸で、コンセプトを構造として言語化。
例:
「このサイトは、40代の女性ユーザーが“信頼できる専門家”としてこのサロンを認識し、安心して予約できることを目的としています。そこで、全体のトーンは落ち着きと品格を意識し、信頼性・清潔感・安心感を伝えるデザインに設計しました。」
これだけ言えたら、もう立派な“強いコンセプト”や。
第6章:デザインを“信じてもらう”ための言語化スキル
ここまでの話で見えてきたように、デザインを評価されるかどうかは、
「見た目の良さ」 × 「説明のうまさ」
この掛け算で決まるんよ。
いくら腕があっても、それが伝わらなかったら“存在しない”のと同じ扱いをされてしまう。
逆に、そこまで派手じゃないデザインでも、意図がしっかり語れたら、めちゃくちゃ信頼される。
だから、“言語化できる力”=“信頼を勝ち取る力”なんよね。
第7章:これからの時代、デザインに“言葉”は必須スキル
近年、クライアントの要求は“ビジュアル”だけじゃなく、戦略的な意図や根拠にまで及ぶようになってきた。
たとえば、
- 「なぜそのフォントなんですか?」
- 「なぜこの配色に?」
- 「このデザインは誰に、何を届けるためですか?」
こうした問いに対して、感覚だけではもう通用しない。
UX、ブランディング、マーケティング、トンマナ──
領域が複雑化する中で、“デザイナーの言葉”は、成果に直結する力になってきてる。
それってつまりどういうこと?
要するに、
「見た目が良い」だけじゃ、もう足りん。
「なぜそうしたのか?」を語れる力が、“信頼”と“選ばれる理由”になる。
ここに気づけるかどうかで、これからのデザイナー人生、マジで分かれてくるんよね。
第8章:「コンセプトが弱い」と言われないために今できること
ここまで読んでくださったあなたに、今日からできる実践ステップをまとめておきます。
✅ 実践ステップ
- 自分のデザインに“なぜ”を問いかけるクセをつける
- 色、フォント、構図──全部に理由を持つ練習
- 「誰に・何を・どうやって」伝えるのかを明文化してみる
- 一行でもいいから書き出すクセをつけてみる
- 他人の作品を分析して“言語化力”を鍛える
- ギャラリーサイトで気になったデザインに対して「なぜ良いと思ったか?」を言語化してみる
- 実案件では“説明書き”をつけるようにする
- ラフ案や納品物に“コンセプト説明”を添えると、提案力が爆上がりします
第9章:もっと深くコンセプト設計を学びたい方へ
ここまで読んで「自分もコンセプト設計の力を伸ばしたい」と感じた方。
もしくは「今まさに案件でつまずいている…」という方。
そんな方に向けて、デザインの相談窓口を用意しています。
あなたの案件の“核”を一緒に見つけたり、
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提案書の構成をチェックしたり…
そんなサポートもやっとるけん、気軽に相談してみてや!
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まとめ
- “コンセプトが弱い”と言われるのは、言語化できていないから
- デザインは“感覚”だけでは信じてもらえない
- 「誰に・何を・どうやって」を構造として捉えると、デザインがブレなくなる
- “説明力”は、これからのデザイナーにとって最大の武器
デザインを“語れる人”になると、
ただの“作業者”から、“頼れる戦略パートナー”に変わるんよ。
もしあなたが今、
「デザインが通らない」「伝わらない」「信じてもらえない」
そんな壁にぶつかっているなら──
それは“言葉の力”を鍛えるタイミングかもしれません。
一緒に、強いコンセプトを言葉にして、通る・伝わるデザインをつくっていきましょう。
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